太もも裏のハムストリングって、大腿四頭筋と比べると、あまり意識が向かない部位です。
ですが、ハムストリングは、筋肉の中でもかなり大きい筋肉で、集中的に鍛えたい部位でもあります。そんなハムストリングを集中的に鍛えられるトレーニングが、『ルーマニアンデッドリフト』です。
今回は、そんなルーマニアンデッドリフトのやり方やコツ、通常のデッドリフトの違いなどを解説していきます。
ルーマニアンデッドリフトとは(デッドリフトとの違い)
由来はルーマニア人のパワーリフターであるDradomir Cioroslan氏とNIcu Vlad氏のお二方が好んで行っていたからこのように呼ばれるようになったそうです。
ルーマニアンデッドリフトの場合は通常のデッドリフトと比べると思いっきり腰を落としません。膝を軽く曲げてハムストリングスのバネでウエイトを分散させるイメージです。しかし、若干出尻は作ります。これにより、ハムストリングスとお尻に負荷が分散されます。
また、ウエイトを降ろすときにハムストリングスのストレッチが効いてくるのがわかるかと思います。なので、ハムストリングスへの負荷も非常に大きくなります。大腿四頭筋よりもハムストリングスのほうを強化したいというのであればルーマニアンデッドリフトをおすすめします。
普通のデッドリフトと筋肉への影響がどう違うのか?
普通のデッドリフトでは、膝の曲げ動作も加えるので、スクワットほどではないにしろももの前側の大腿四頭筋にも刺激が入ります。
このルーマニアンデッドリフトは、最初に少し膝を緩める程度で膝の曲げ伸ばし動作がないため、ほぼ大腿四頭筋への刺激は入らなくなります。
その変わりお尻を後ろに引く動作が大きくなり、その動作が強調されるためハムストリングスや大殿筋、脊柱起立筋への刺激が大きくなります。
このお尻を後ろに引きながらバーを降ろしている状態というのは、大殿筋やハムストリングスが引き伸ばされながら負荷を与えられているという状態になるのですが、筋肉はこの”引き伸ばされながら負荷がかかっている”状態というのが、最も刺激がいきやすいんです。
これは他のトレーニングにも言えることですが、つまり腕立て伏せなら実は身体を上げているときより、降ろしているとき、バーベルやダンベルでも下ろしているときの方が筋細胞がダメージを受ける度合いが大きいとされ、上げているときよりも下ろしている時の方が筋肉痛が10倍も発生しやすいというデータもあります。
ルーマニアンデッドリフトは、お尻や下半身のラインの引き締め、ヒップアップに適していて、かつ人間の筋肉で1番大きい大腿四頭筋へ刺激がいかないという点で、脚は太くしたくないけど、お尻と下半身のラインを引き締めたい、ヒップアップしたいという女性などにも非常に適しているトレーニングです。
ルーマニアンデッドリフトで鍛えられる部位
- ハムストリング
- 大臀筋
- 前腕筋
- 広背筋
- 僧帽筋
- 脊柱起立背筋
ルーマニアンデッドリフトの正しいやり方
-
- バーベルバーの手前、スネがバーに少し触れるくらいの位置に腰幅ほどの足幅で立つ
- 肩幅よりも少し広めに手幅を広げて、バーを握る
- 一度、そこから太ももの中央部くらいまでバーベルを持ち上げ、そこでキープする
- 背筋を伸ばしながら、上体をゆっくりと起こしていく
- 上体を起こしたら、背筋を伸ばした上体をキ―プしながら、お尻を後ろに突き出すようにバーベルを下ろす
- この動作を7回繰り返す
- インターバル(3分間)
- 残り4セット行う
- 終了
ルーマニアンデッドリフトのコツ
- 1. 膝を曲げすぎない常にハムストリングからお尻にかけてのストレッチを感じなから動作を行うため、膝を曲げすぎてテンションをほどかないようにする必要があります。だからといって、膝を完全に伸ばした状態でやると、バランスを崩し、膝を痛めますので、注意です。
2. バーベルは床につけない
これはご自身の柔軟性によってバーベの下げられる位置が決まってきます。1.で書いたように、ストレッチがほどけないギリギリの状態まで下げるのがポイントです。ただ、柔軟性があるからといって、バーベルを床につけてしまうと、ストレッチがほどけてしまいますので、あくまでも床につくギリギリで止めておくのがポイントです。
3. 背中は丸めない
背中を丸めてしまうと、本来なら股関節を起点に上半身をおこす動作を行うところ、背中(脊柱起立筋)を起点に起こしてしまいますので、脊柱起立筋にも負荷が逃げてしまいます。通常のデッドリフト同様に、胸を張り、背中は丸めないようにしましょう。
4. 足幅は腰幅くらい
人によって効かせやすい足幅があると思いますが、腰幅から、広くても肩幅くらいにすると、ターゲットを意識しやすいです。
5. 上体を起こした時、お尻をキュッと絞る
これは人によると思いますが、より大殿筋に刺激を入れるためには、上体を起こした時にお尻の穴をキュッと締めるとより大殿筋の収縮感を得られます。よく、やりすぎて背中を反りまくってる人がいますが、あれは腰に負担がすごくかかります。あくまでも、重りを大殿筋で感じられている状態でキュッと締めることが重要です。
6. 重量設定に注意
床引きデッドリフトと違い、大腿四頭筋や背中の筋肉は使いませんので、扱う重量がグッと下がります。いきなり同じ重量設定で始めると腰を痛めますので、最初は軽い重量でフォームを固め、ハムストリングと大殿筋の張りだけを意識できるまで練習してから重量を上げていきましょう。軽い重量でもハムストリングと大殿筋だけをダイレクトに刺激できますので、他のどんなトレーニングよりも強い刺激を与えられます。
例として、床引きデッドリフトのメインセットを100kgで行っている人の場合、ルーマニアンデッドリフトは60〜70kgの重量でOKです。
まとめ
ルーマニアンデッドリフトは大臀筋とハムストリングに効果抜群の筋トレです。美しいヒップラインと足のラインが欲しい女性にもオススメしたいトレーニング種目です。